このページではPodのライフサイクルについて説明します。
Podのstatus
項目はPodStatusオブジェクトで、それはphase
のフィールドがあります。
Podのフェーズは、そのPodがライフサイクルのどの状態にあるかを、簡単かつ高レベルにまとめたものです。 このフェーズはコンテナやPodの状態を包括的にまとめることを目的としたものではなく、また包括的なステートマシンでもありません。
Podの各フェーズの値と意味は厳重に守られています。
ここに記載されているもの以外にphase
の値は存在しないと思ってください。
これらがphase
の取りうる値です。
値 | 概要 |
---|---|
Pending |
PodがKubernetesシステムによって承認されましたが、1つ以上のコンテナイメージが作成されていません。これには、スケジュールされるまでの時間と、ネットワーク経由でイメージをダウンロードするための時間などが含まれます。これには時間がかかることがあります。 |
Running |
PodがNodeにバインドされ、すべてのコンテナが作成されました。少なくとも1つのコンテナがまだ実行されているか、開始または再起動中です。 |
Succeeded |
Pod内のすべてのコンテナが正常に終了し、再起動されません。 |
Failed |
Pod内のすべてのコンテナが終了し、少なくとも1つのコンテナが異常終了しました。つまり、コンテナはゼロ以外のステータスで終了したか、システムによって終了されました。 |
Unknown |
何らかの理由により、通常はPodのホストとの通信にエラーが発生したために、Podの状態を取得できませんでした。 |
PodにはPodStatusがあります。それはPodが成功したかどうかの情報を持つPodConditionsの配列です。 PodCondition配列の各要素には、次の6つのフィールドがあります。
lastProbeTime
は、Pod Conditionが最後に確認されたときのタイムスタンプが表示されます。
lastTransitionTime
は、最後にPodのステータスの遷移があった際のタイムスタンプが表示されます。
message
は、ステータスの遷移に関する詳細を示す人間向けのメッセージです。
reason
は、最後の状態遷移の理由を示す、一意のキャメルケースでの単語です。
status
はTrue
とFalse
、Unknown
のうちのどれかです。
type
次の値を取る文字列です。
PodScheduled
: PodがNodeにスケジュールされました。Ready
: Podはリクエストを処理でき、一致するすべてのサービスの負荷分散プールに追加されます。Initialized
: すべてのinit containersが正常に実行されました。Unschedulable
: リソースの枯渇やその他の理由で、Podがスケジュールできない状態です。ContainersReady
: Pod内のすべてのコンテナが準備できた状態です。Probe は kubelet により定期的に実行されるコンテナの診断です。 診断を行うために、kubeletはコンテナに実装された ハンドラーを呼びます。 Handlerには次の3つの種類があります:
ExecAction: コンテナ内で特定のコマンドを実行します。コマンドがステータス0で終了した場合に診断を成功と見まします。
TCPSocketAction: コンテナのIPの特定のポートにTCPチェックを行います。 そのポートが空いていれば診断を成功とみなします。
HTTPGetAction: コンテナのIPの特定のポートとパスに対して、HTTP GETのリクエストを送信します。 レスポンスのステータスコードが200以上400未満の際に診断を成功とみなします。
各Probe 次の3つのうちの一つの結果を持ちます:
Kubeletは2種類のProbeを実行中のコンテナで行い、また反応することができます:
livenessProbe
: コンテナが動いているかを示します。
livenessProbe に失敗すると、kubeletはコンテナを殺します、そしてコンテナはrestart policyに従います。
コンテナにlivenessProbeが設定されていない場合、デフォルトの状態はSuccess
です。
readinessProbe
: コンテナがServiceのリクエストを受けることができるかを示します。
readinessProbeに失敗すると、エンドポイントコントローラーにより、ServiceからそのPodのIPアドレスが削除されます。
initial delay前のデフォルトのreadinessProbeの初期値はFailure
です。
コンテナにreadinessProbeが設定されていない場合、デフォルトの状態はSuccess
です。
コンテナ自体に問題が発生した場合や状態が悪くなった際にクラッシュすることができれば
livenessProbeは不要です。この場合kubeletが自動でPodのrestartPolicy
に基づいたアクションを実行します。
Probeに失敗したときにコンテナを殺したり再起動させたりするには、
livenessProbeを設定しrestartPolicy
をAlwaysまたはOnFailureにします。
Probeが成功したときにのみPodにトラフィックを送信したい場合は、readinessProbeを指定します。 この場合readinessProbeはlivenessProbeと同じになる可能性がありますが、 readinessProbeが存在するということは、Podがトラフィックを受けずに開始され、Probe成功が開始した後でトラフィックを受け始めることになります。 コンテナが起動時に大きなデータ、構成ファイル、またはマイグレーションを読み込む必要がある場合は、readinessProbeを指定します。
コンテナがメンテナンスのために停止できるようにするには、 livenessProbeとは異なる、特定のエンドポイントを確認するreadinessProbeを指定することができます。
Podが削除されたときにリクエストを来ないようにするためには必ずしもreadinessProbeが必要というわけではありません。 Podの削除時にはreadinessProbeが存在するかどうかに関係なくPodは自動的に自身をunhealthyにします。 Pod内のコンテナが停止するのを待つ間Podはunhealthyのままです。
livenessProbeまたはreadinessProbeを設定する方法の詳細については、 Configure Liveness and Readiness Probesを参照してください
PodとContainerのステータスについての詳細の情報は、それぞれPodStatusと ContainerStatusを参照してください。 Podのステータスとして報告される情報は、現在のContainerStateに依存しています。
PodがスケジューラによってNodeに割り当てられると、
kubeletはコンテナのランタイムを使用してコンテナの作成を開始します。
コンテナの状態はWaiting、RunningまたはTerminatedの3ついずれかです。
コンテナの状態を確認するにはkubectl describe pod [POD_NAME]
のコマンドを使用します。
Pod内のコンテナごとにStateの項目として表示されます。
Waiting
: コンテナのデフォルトの状態。コンテナがRunningまたはTerminatedのいずれの状態でもない場合コンテナはWaitingの状態になります。Waiting状態のコンテナは引き続きイメージを取得したりSecretsを適用したりするなど必要な操作を実行します。この状態に加えてメッセージに関する情報と状態に関する理由が表示されます。
...
State: Waiting
Reason: ErrImagePull
...
Running
: コンテナが問題なく実行されていることを示します。コンテナがRunningに入るとpostStart
フック(もしあれば)が実行されます。この状態にはコンテナが実行中状態に入った時刻も表示されます。
...
State: Running
Started: Wed, 30 Jan 2019 16:46:38 +0530
...
Terminated
: コンテナの実行が完了しコンテナの実行が停止したことを示します。コンテナは実行が正常に完了したときまたは何らかの理由で失敗したときにこの状態になります。いずれにせよ理由と終了コード、コンテナの開始時刻と終了時刻が表示されます。コンテナがTerminatedに入る前にpreStop
フックがあればあれば実行されます。
...
State: Terminated
Reason: Completed
Exit Code: 0
Started: Wed, 30 Jan 2019 11:45:26 +0530
Finished: Wed, 30 Jan 2019 11:45:26 +0530
...
Kubernetes v1.14
stable
vX
(X
はバージョン番号を示す整数) という規則でつけられています。追加のフィードバックやシグナルをPodStatus
に注入できるようにしてPodのReadinessに拡張性を持たせるため、
Kubernetes 1.11 ではPod ready++という機能が導入されました。
PodSpec
の新しいフィールドReadinessGate
を使用して、PodのRedinessを評価する追加の状態を指定できます。
KubernetesがPodのstatus.conditionsフィールドでそのような状態を発見できない場合、
ステータスはデフォルトでFalse
になります。以下はその例です。
Kind: Pod
...
spec:
readinessGates:
- conditionType: "www.example.com/feature-1"
status:
conditions:
- type: Ready # これはビルトインのPodCondition
status: "False"
lastProbeTime: null
lastTransitionTime: 2018-01-01T00:00:00Z
- type: "www.example.com/feature-1" # 追加のPodCondition
status: "False"
lastProbeTime: null
lastTransitionTime: 2018-01-01T00:00:00Z
containerStatuses:
- containerID: docker://abcd...
ready: true
...
新しいPod Conditionは、Kubernetesのlabel key formatに準拠している必要があります。
kubectl patch
コマンドはオブジェクトステータスのパッチ適用をまだサポートしていないので、
新しいPod ConditionはKubeClient librariesのどれかを使用する必要があります。
新しいPod Conditionが導入されるとPodは次の両方の条件に当てはまる場合のみ準備できていると評価されます:
ReadinessGates
で指定された条件が全てTrue
である。PodのReadinessの評価へのこの変更を容易にするために、新しいPod ConditionであるContainersReady
が導入され、古いPodのReady
条件を取得します。
K8s 1.1ではAlpha機能のため”Pod Ready++” 機能はPodReadinessGates
feature gateにて明示的に指定する必要があります。
K8s 1.12ではこの機能はデフォルトで有効になっています。
PodSpecには、Always、OnFailure、またはNeverのいずれかの値を持つrestartPolicy
フィールドがあります。
デフォルト値はAlwaysです。restartPolicy
は、Pod内のすべてのコンテナに適用されます。
restartPolicy
は、同じNode上のkubeletによるコンテナの再起動のみを参照します。
kubeletによって再起動される終了したコンテナは、5分後にキャップされた指数バックオフ遅延(10秒、20秒、40秒…)で再起動され、10分間の実行後にリセットされます。Pods documentに書かれているように、一度NodeにバインドされるとPodは別のポートにバインドされ直すことはありません。
一般にPodは人間またはコントローラーが明示的に削除するまで存在します。
コントロールプレーンは終了状態のPod(SucceededまたはFailedのphase
を持つ)の数が設定された閾値(kube-controller-manager内のterminated-pod-gc-threshold
によって定義される)を超えたとき、それらのPodを削除します。
これはPodが作成されて時間とともに終了するため、リソースリークを避けます。
次の3種類のコントローラがあります。
バッチ計算などのように終了が予想されるPodに対しては、Jobを使用します。
JobはrestartPolicy
がOnFailureまたはNeverになるPodに対してのみ適切です。
停止することを期待しないPod(たとえばWebサーバーなど)には、ReplicationController、ReplicaSet、またはDeploymentを使用します。ReplicationControllerはrestartPolicy
がAlwaysのPodに対してのみ適切です。
マシン固有のシステムサービスを提供するため、マシンごとに1つずつ実行する必要があるPodにはDaemonSetを使用します。
3種類のコントローラにはすべてPodTemplateが含まれます。 Podを自分で直接作成するのではなく適切なコントローラを作成してPodを作成させることをおすすめします。 これはPod単独ではマシンの障害に対して回復力がないためです。コントローラにはこの機能があります。
Nodeが停止したりクラスタの他のNodeから切断された場合、
Kubernetesは失われたノード上のすべてのPodのphase
をFailedに設定するためのポリシーを適用します。
Liveness Probeはkubeletによって実行されるため、 すべてのリクエストはkubeletネットワークのnamespaceで行われます。
apiVersion: v1
kind: Pod
metadata:
labels:
test: liveness
name: liveness-http
spec:
containers:
- args:
- /server
image: k8s.gcr.io/liveness
livenessProbe:
httpGet:
# "host" が定義されていない場合、"PodIP"が使用されます
# host: my-host
# "scheme"が定義されていない場合、HTTPスキームが使用されます。"HTTP"と"HTTPS"のみ
# scheme: HTTPS
path: /healthz
port: 8080
httpHeaders:
- name: X-Custom-Header
value: Awesome
initialDelaySeconds: 15
timeoutSeconds: 1
name: liveness
Podが実行中でそのPodには1つのコンテナがあります。コンテナは正常終了しました。
restartPolicy
が、
phase
はRunningのままです。phase
はSucceededになります。phase
はSucceededになります。Podが実行中でそのPodには1つのコンテナがあります。コンテナは失敗終了しました。
restartPolicy
が、
phase
はRunningのままです。phase
はRunningのままです。phase
はFailedになります。Podが実行中で、その中には2つのコンテナがあります。コンテナ1は失敗終了しました。
restartPolicy
が、
phase
はRunningのままです。phase
はRunningのままです。phase
はRunningのままです。restartPolicy
が、
phase
はRunningのままです。phase
はRunningのままです。phase
はFailedになります。Podが実行中でそのPodには1つのコンテナがあります。コンテナはメモリーを使い果たしました。
restartPolicy
が、
phase
はRunningのままです。phase
はRunningのままです。phase
はFailedになります。Podが実行中ですがディスクは死んでいます。
phase
はFailedになります。Podが実行中ですがNodeが切り離されました。
phase
をFailedにします。attaching handlers to Container lifecycle eventsのハンズオンをやってみる
configuring liveness and readiness probesのハンズオンをやってみる
Container lifecycle hooksについてもっと学ぶ
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